最近、仕事が落ち着いて少しずつ本を読む時間が取れるようになってきたKazuです!
今では体はブヨついてしまっているKazuですが、若いときは、野球をやっていました。
ですから、3月の侍ジャパンの快進撃は本当に胸踊りましたね。
特に、準決勝の大逆転勝利や決勝戦のアメリカ戦も大いに盛り上がりしたね。
2023年の3月に最も輝いていたのは、大谷翔平選手でしょう。
彼はまさに生きる伝説と言っても、誰も否定できない領域に達した大大大スター間違い無いでしょう。
今回はそんな大谷翔平選手に関する本、
『SHO-TIME 大谷翔平 メジャー120年の歴史を変えた男 ジェフ・フレッチャー(著)』を取り上げます。
なぜ、私がこの本を読もうと思ったか…。
それは、私が
「確かに大谷選手は野球の歴史で最高の選手だと思える。
でも、それは私が日本人だから依怙贔屓(えこひいき)してるだけで、
本場ではそこまで評価高く無いのでは?」
と思ったことがきっかけです。
それでは”ベースボールの国で本当のところ、大谷翔平選手はどう思われているのか?”
私と一緒に読み解いていきましょう!(答えはハッキリしてますけど…)
本紹介
『SHO-TIME 大谷翔平 メジャー120年の歴史を変えた男 ジェフ・フレッチャー(著)』
著者は、1,460日間大谷翔平選手に密着し本人はもちろん、
チームメイトや球団関係者まで多岐にわたる取材を重ねて
大谷選手のメジャー二刀流への挑戦を追っています。
この本は巻末にあるYouTuberのカオルさんと訳者のタカ大丸氏の言葉も
相当面白いです(マジっす!)。
カオルさんは2021年シーズンはエンゼルスの後を追って、全米を飛行機で飛び回り約130試合を観戦したそうです。
YouTubeに動画を投稿するための編集作業があり、シーズンの間睡眠時間は2〜3時間だったそうな…。
凄まじい大谷愛を感じます汗。
オススメ読者、難易度、レベル (全て独断と偏見)
オススメ読者:
- ”大谷選手凄いのは知ってるけど、周りの選手や関係者はどう思ってるの?”という興味がある人
- メジャーリーグ二刀流の舞台裏、エンゼルスの球団側の事情が知りたい人
- 大谷翔平選手のことがとにかく知りたいファン
- 伝記を読んでワクワクする人
難易度:★★★
レベル:標準的な伝記(野球関係の知識、球団ビジネス関連の知識があると理解しやすいかも…)
総評・感想
本書を読む前では、
私の大谷選手の印象は「大谷選手って以前は怪我が多くて戦線離脱ばっかりしてたよな」というものでした。
しかし、本書を読むと、160kmを超す投球や160m級の打球を放つということが
怪我というリスクを抜きに達成不可能であることがわかります。
大谷選手の桁違いのパフォーマンスは常に怪我と隣り合わせであり、
両者は切っても切れない関係にあるのです。
恵まれたスーパースターでもハイパフォーマンスと怪我のリスクというトレードオフを生きているのは、
大谷翔平という稀代のスターをより身近に感じさせてくれました。
(私とでは月とスッポン、ゾウとミジンコですが汗)
本書では、指先のマメ、怪我と向き合うなど様々な試行錯誤の末、
大谷選手が右肘や右膝その他のケガを克服する様を追体験できます。
そこでは筋トレの方法疲労状態を科学的に把握する新たな取り組みを積極的に受け入れ、
(ドライブラインベースボールの最先端機器を用いたパフォーマンス向上支援は超興味深いところですが…
今回は取り上げませぬ滝汗。)
試行錯誤を続け、様々なことに貪欲に取り組む天才の姿を垣間見ることができます。
最終的に大谷選手の努力はもちろん、忍耐強く支えた監督やコーチ陣、
GMをはじめとしたフロントスタッフ皆の努力が2021年の”リアル二刀流の実現”に結実したのです。
読みどころ①加速する進化の裏には”学んで、変わる姿勢”がある
動くボールへの対応:ノーステップで打つ
日本人選手がメジャーリーグに挑戦するとまず言われることがあります。
それは”速くて動くボールへの対応がとても難しい”ということです。
これは過去の松井秀喜選手はもちろん、最近では、吉田正尚も苦しんでいましたね。
大谷選手もメジャー初年18年では、スプリングトレーニングで全くタイミングが合わなかったようです。
プロ野球でも春のオープン戦の成績は、本番と全く別物だいうのが定番になっていますよね。
メジャーでも、スプリングトレーニングではアドレナリンが足りず、パフォーマンスが落ちるというのが
一般常識になっているようです。ですから本来ならば、そこまで気にならない状態でしょう。
しかし、大谷選手は周りが心配になるくらいメジャーの投手に全くタイミングが合わない状態でした。
そこで、打撃コーチのエリック・ヒンスキーコーチが足を上げなくてもパワーは
十分伝わると大谷選手に諭します。
今ではすっかり見慣れた大谷選手の右足チョコン打法、
あれは打撃コーチのアドバイスがきっかけだったようです。
「(これは)いいですね。やりましょう」
こうして どうして足を上げるのは終わり、足を上げない、バッティングフォームに変えていった。
大谷は、スイングに関するこの重大な変更をスイッチ一つで簡単にやってのけたように見えた。
それは、普段から正しいメカニックの維持に苦労しているチームメイト人たちを驚嘆させるに十分だった。
「 普通の選手は、たかだか4分の1インチか半インチ手がずれただけで居心地が悪くなってしまうものだよ」
ベテラン二塁手のイアン・キンズラーが語る。
「あれは、見ていて驚いたね」
ちなみに、前出のヒンスキーコーチは
「なんで大谷選手はそんなに遠くにボールを打って飛ばせるのか?」と問われ、空を指指したそうです。
この意味するところは、天から与えられた才能だということらしいです笑。
大谷選手の凄さは、この大掛かりなフォームの変更を
限られた打者としての練習時間でやってのけてしまった点です。
当時、私はNHKの一年目の大谷選手を特集した番組でその様子を見ていました。
”日本人のパワーではほぼノーステップで打つことは不可能。”と思い込んでいた私は、
画面上で大谷選手がバカスカホームランを連発する姿に驚きを通り越して呆れてしまいました。
http://えぇっ?垂直跳びの跳び方さえも、学習して上達するの!?
大谷選手の学習能力の高さは、エンゼルス入団後の体力テストにも現れています。
エンゼルスは18年の入団前に大谷選手に体力テストを課しています。
種目の一つが”垂直跳び”です。ですが、これが周りを驚かせます。
なんと、大谷選手の跳躍力があまりに平均的な数値だったのです。
何をやっても圧倒的なパフォーマンスを球場で見せるアスリートにしては、その結果は意外なものだったようです。
しかし、これで終わらないのが大谷選手のスターたる所以(ゆえん)でしょう。
テストから1ヶ月後、再びエンゼルスが大谷選手の垂直跳びを計測すると…。
前回よりも約23cm伸び、球団内でも最上位に近い数字を叩き出したのです。
通常は、8cmくらい伸びれば上出来らしい中での大変化に周りはさぞ驚かされたでしょう。
では、なぜそんなことが起きたのか?
それは大谷選手が垂直跳びの正しい跳び方をYouTubeの動画を見て学んだからでした。
正しい体の使い方を学ぶことで、自身の持つ全身のバネを垂直跳びでも効率的に使うことを学び、それを表現してしまう。
これが大谷選手の稀代な力の一つです。
”そうは言っても、普通は跳び方の動画を見て、垂直跳びの研究をしようなんて思わないでしょ?”
というのが私の正直な感想です笑。
やはり天才は理解し難く、トコトン納得までやるというのが大谷選手の性分なんでしょうね。
読みどころ②フロントも新しいことに挑戦する
本書を読むと、GMを初め監督やコーチ陣はもちろんエンゼルススタッフが投打二刀流を達成するために、
挑戦を恐れず、物事に応じて変化していったことがよくわかります。以下に3点ほど、例を挙げます。
①今では大谷選手の女房役という言っても過言ではない通訳の水原一平さんを抜擢し、専属として様々な
面で大谷選手をバックアップする体制を作り上げたこと。
②アメリカのマスコミはもちろん、日本の大量のマスコミに対処するために新たな広報担当者の配置から
マスコミへの質問やインタビューにスムーズに応じるための体制作ったこと。
③そして、今でこそリアル二刀流として、投打での出場機会を与えられている大谷選手の起用方法が
フロント側の最適解を模索し続ける苦慮を通じて徐々に結実していったこと。
以上のように本書では、裏方であるフロント側がどれほど大谷選手の才能と可能性を認め、
彼のスタイルを尊重しつつ、共に二刀流という偉業達成に向かった過程が克明に記されています。
私としては、2020年にエンゼルスの新しいGMに就任したペリー・ミナシアンが
それまでは日ハム時代を踏襲し、どちらかというと出場機会を制限することに重きを置いていた起用方針を
大幅に変更し、出場機会を増やしたことが二刀流成功への転換点だったと感じました。
本書を読むまで、試合のオーダー(出場選手を決めること)は
監督やコーチの裁量のみで決まると思い込んでいたのですが、
どうもメジャーでは選手の起用にもフロントの意向が強く影響するようです。
それまでの大谷選手は、右肘靱帯を損傷し2018年にトミージョン手術を受け、その後丸2年間まともに
投手として起用がない中での積極的な起用への方針転換は本当に勇気のある変更だったと思います。
まとめ
今回は、
『SHO-TIME 大谷翔平 メジャー120年の歴史を変えた男 ジェフ・フレッチャー(著)』
を取り上げました。
本書を読むと、上記以外にもたくさんの驚きに出会えます。
エンゼルスフロント陣がメジャーでは二刀流は成功しないという下馬評がある中でも
大谷選手が二刀流を成し遂げるという揺るぎない根拠として、
”日本のNPB(Nippon Professional Baseball Organization)がメジャーに限りなく近い実力を持つ
世界で2番目のリーグであり、そこで二刀流をやり抜いている”
ということが記されていることは、その一つです。
これは本当に大谷選手を評価していて、NPBもリーグとして評価が高いことを示していると思います。
私は、イチロー選手がギネス記録の通算4,257安打を達成した際、メジャーの安打王であるピート・ローズ氏が
日本のプロ野球での記録を実力が劣ったリーグでの記録だと酷評していたため、
「日本のプロ野球はメジャーの格下でマイナーリーグ級」というのがメジャー関係者の共通認識と
思っていましたが、あれは極端な評価であったことがよくわかりました。
本書を読むと色々な発見ができると思います。本当に、書き切れないくらい面白い発見があります。
興味を持った方は、是非、本書を手に取って見てください。